【PRODUCTION NOTE】

 その優雅さと力強さを兼ね備えたアクションから、香港のみならず海外からも常に高い注目と賞賛を浴びている日本人俳優、澤田謙也。日本ではまだ一部の熱狂的ファンのカルト的人気が強いように思われがちだが、アメリカを筆頭にアジアの各地では、日本人俳優の中でも実力派として認識されている。それは実力と本物志向を常に求める海外社会が、彼をスターとして受け入れた証しである。
 常に自分の信念を貫き決して怠らない姿勢でいる彼が、更なるステップ・アップとして自らの映画製作を思い付き、企画から実現に至るまで長年の努力を重ねたのが本作品である。まず、鷹見というキャラクターが造形され、彼が海外を舞台に活躍するアクション作品として企画されたが、様々な原案を練り直す中で、企画は一度、暗礁に乗り上げてしまう。だが、澤田の熱意を感じ取った協賛者や、彼の実力に目をつけていた香港最大のメジャー会社であるゴールデン・ハーベスト社長のレナード・ホー氏(故人)の尽力により澤田自らもプロデューサーとして参加し、日本・香港合作映画として遂に実現することとなった。
 監督には香港一の実力を持ち、自らスタントチーム"猛龍特技"率いるアクション監督のブルース・ロウが、初メガホンを握り監督デビューを飾った。『デッド・ヒート』で澤田と一緒に仕事をしたブルースは、常日頃から彼を高く評価しており、自らの初監督作品で彼が主演という喜びを熱く語った。
 作品を製作する上で二人は、既製のアクション映画にはならない様に、ストーリー性とリアルさを重視したエンターテイメント作品になることを心掛けた。そこでまず考えられたのは、作品に登場する日本人キャラクターとその描写。これまでの外国作品に登場する日本人は、不自然な印象が先行し、また、外国人が演じているのではやはりリアルさに欠けていた。澤田は自ら日本人俳優のオーディションを行い、現場でもブルースやスタッフたちと話し合い、日本の描写のシーンでは演出を一部担当した。
 一方、ブルースの方も全身全霊を傾けて、爆破、銃撃戦など迫力のあるアクション・シーンを作り上げる事に成功。現場では良い作品に仕上げるべく、スタッフとキャストが一丸となり、時にはお互いの情熱がぶつかり会う場面もあったが、常にアットホームな雰囲気で現場は進められ、例えば納得が行くまで何度も撮り直しを余儀なくされるシーンも、誰も文句も弱音を吐かずにやり遂げた。それは全員がこの作品への愛情と誇りを持ち、澤田とブルースのプロフェッショナルな姿勢への尊敬の現れからであろう。
 こうして香港や日本では異例の一年近い製作期間を経て完成。香港の完成披露試写会では、監督のベニー・チャンや俳優のサム・リーなど著名人が多数応援に駆け付け、マスコミでも大々的に取り上げられた。だが、日本では作品にカルト教団がモチーフとなっているために、作品のクオリティの高さも確かめずに心無い人たちによって、二年間も公開が実現しなかった。だが、この作品を海外で見た映画ファンや評論家たちの誠意と応援、そして作品を純粋に評価した配給会社によって、遂に公開が決定した。そして、2000年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でのワールド・プレミアでは、各国の映画人と映画ファンたちに熱狂的に受け入れられ、 韓国映画『シュリ』以上だと評価までも貰うこととなった。
 こうしてアクション超大作『ホーク/B計画』は今、日本でその全貌が明らかにされることとなった。是非、本作品を楽しむと同時に、関わった全てのスタッフとキャストの情熱を感じ取ってほしい。
 最後に余談であるが、本作のエンディングテーマ曲として、中国のトップ女性シンガー那英(Na Ying)が歌っている「相見不如懐念-Weep No More-」は日本人アーティストASKAのシングル曲「Girl」をカバーしたもので、ASKA自らのプロデュースにより新たに生まれ変わったものである。